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2007.09.24

ドラクル 9月22日ソワレ

nojao氏強制ゲットで、シアターコクーン「ドラクル」に。気がつけばnojao氏とは「ダンス・オブ・ヴァンパイア」も一緒に観ていたりして、なんだか吸血鬼づいてる。

長塚圭史は”嫌い”ではないが”苦手”ではある。ので、ちょっと恐々。だが、いつものごとく前ネタは何も仕入れず劇場へ向かった。
またしても出遅れ、席に着いたのは開演ベルと同時という体たらく。が、前目の下手センターブロックよりでそれなりに良い席。

劇場は、寒かった。全幕通してひたすら寒かった。幕間に珍しくホットコーヒー飲んじゃうくらい寒かった!

【出演】
市川海老蔵
宮沢りえ
永作博美
渡辺哲
山崎一
手塚とおる
山本亨
市川しんぺー
明星真由美
中山祐一朗
勝村政信

一度は海老蔵を生芝居で見たい。舞台の宮沢りえを見たい。その他キャストが豪華すぎる!という理由から、観に行ったわけであるが。
久々に聴く、弦楽器の生音。やっぱりいいなぁぁ。

以下、感想。ネタばれ含む。

 

話は嫌いじゃない。というか好き。
でも、過去や状況説明を独白形式の長台詞に任せてしまうのが苦手なため、できれば、もう一度練って再演して欲しいなぁという感じの仕上がり。

長塚圭史っぽい”グロくてエグくて気持ち悪いキャラ”は健在。手塚とおるの司教はゾワっとかグワっとかゲェっとかした。演出のグロさは威力は小さいが健在。ま、それはお約束。
全体的に台詞の口調が翻訳モノというか、格調高いいかにもな感じでいいなぁと長塚の脚本ってこんなんだったけ?と思っていたら、パンフに翻訳モノを意識してわざわざ英語で台詞を書いてそれを翻訳してみたりしたとの記述。へぇと感心する。

1幕は退屈だった。
事前情報をまったく仕入れなかったので、時代設定とかも当然知らないわけで。で、1幕のところどころにちりばめられる「ジルドレ」や「ルーアンで火あぶり」「聖女」「300年前」などのキーワードが気になって気になって、今が何時なのか?ジル・ド・レって言った?青髭?ジャンヌ・ダルク?300年前?今との関係は?アダムとエヴァの領主夫妻の前妻がリリス?リリス罪人?などなど。
の割りにいっかな話が進まず、なんだかちょっとイライラ。

なんとなくの伏線は仕込まれていると感じることができたものの、1幕の段階ではヴァンパイアを題材にした定番ものかなという印象が強かった。

宮沢りえ、いいなぁ。美しいなぁ。でも時々声枯れしてるなぁ。終盤だからかなぁ。
海老蔵、いいけど、まだよく判らないなぁ。
山本亨(ジョン)いいなぁ。やっぱりいいなぁ。たまらんなぁ。
渡辺哲(ガミュギル)珍しく品のいい紳士医師役?あ、やっぱりやらしい医師だぁ。やっぱいいなぁ。
仕掛け満載の舞台装置を使った吸血鬼演出いいなぁ。
とか、そんな感じ。


謎解きはすべて、2幕で。
1幕の停滞感とは打って変わって、冒頭から種明かしが始まる。
ジャンヌ・ダルクと共に戦ったジル・ド・レ(イ)がレイ(海老蔵)。300年前に青髭公のモデルにもなった少年虐殺の咎で火刑に処せられドラクルと化したのがレイ。
300年前に手を差し伸べた聖女・ジャンヌを求めるように、リリス(宮沢りえ)の差し伸べた手を求める、神に祈るドラクル。そしてリリスを取り戻すべく、再び悪魔と化すレイ。

さて、このくだりの海老蔵そして山崎一演じるブランシェがよかった。
台詞を失念したが、ブランシェの「300年前のご先祖乗り移って話したか!」的な台詞がツボにはまった。
山崎一も舞台で色気が出る人だなぁと感じた。非常に魅力的。


最終的な海老蔵感想は。
うーん、まだよく判らない。良かったけど絶賛かどうか微妙。
テレビではいっそうざったい程の眼力はさすが。1幕の弱った状態でもっと色気があったら大絶賛。2幕のドラクルの迫力は流石だが想定内。だが、とてもとても舞台栄えするのは確か。やっぱり舞台役者は顔がでかいのがイイ。
日頃坊主で気がつかなったがモロ好みのおでこをしていた。が、ロンゲの鬘をかぶり舞台でみる姿が青梅時代の先輩に恐ろしいほどそっくりで、少々複雑な気持ち。


リリスとアダムとエヴァ
レイの過去ともう一つ、2幕の中心的な謎となるのが、レイの妻リリスの息子殺し。
どう見ても、子供を殺すようには見えない女。何か秘密がある。そういう引きで、ついに明かされる秘密。
うわぁ、えぐい。
そこだけ取り上げれば、ぶっちゃけ、レディースコミック系の世にも恐ろしい童話とかそんなストーリー。

超ラブラブカップルだった、アダム(勝村政信)とリリス。暇があればイチャイチャしていたが、子供ができない。世継ぎはどうしても作らなければいけない。ある日、部屋のカーテンをすべて引く夫。真っ暗闇の中での行為。途中で自分を抱いているのが夫ではない別人(司教)と気づく妻。
そして生まれてきた息子を、地面に叩きつけ殺す母。

十月十日、我が身内ではぐくんだ命。生まれてきたこの子に罪はない。とかそういう展開ではなく、殺してしまう母というこの辺りは、ギリシャ悲劇っぽい。

このリリスの告白の宮沢りえも良かった。
”華奢で可憐で儚げで”のリリスによる生々しい告白は、途端に妖艶な色気を纏い、子殺しへ至る狂気じみた声音になっていた。

永作博美(エヴァ)は期待通り。私の大好きな「女の対決」シーンも良かった。
どこか腹に一物二物だったり、異常だったりする登場人物の中で、唯一「あるある」な感じの女性であるエヴァが好きだ。
例え意地悪く振舞おうと、どうにも憎めない。
構成という点では上記リリスの告白の前、司教とエヴァのやりとりから、暗闇の行為の相手が司教であると判るというその展開が好きだ。リリスの告白を聞きながら、はっと察知するエヴァの表情が良かった。

勝村政信(アダム)も、当然良かった。良かったのだが、あまりにも”らしすぎて”ちょっと残念。が、エヴァへの執着とヘタレ領主ぶりとの演じ方はさすが。

レイ1回、アダム2回のリリス姫抱きは、当然萌える。


レイとリリス
結末の雰囲気は、数多のヴァンパイア作品の中でも、どちらかというと萩尾望都っぽいかもとか思った。

差し伸べられる手を望むレイ。リリスにジャンヌを重ねているレイ。
子殺しの罪を背負い、ある意味自己救済のためにレイの手をとるリリス。
この熱烈にお互いを求めているように見えていた二人の心の内と、実際の決定的なすれ違いが、結末でレイの手を取ったリリスの「あなたの手、温かい」で決着するというのは、唐突ではあるのだが中々に美しい。
体温のないレイの手を暖かいと言い、えぇよもや人間に?いや日がさしてきたことを敢えて?と思うまもなく暗転し、レイの姿が消え一人たたずむリリスという絵は美しい。


とはいえ、全体的な感想
吸血鬼のモデルとして、ヴラドやエリザーベト・バートリではなく、ジル・ド・レを持ってきたところ。そして、リリスとの絆の根底にジャンヌを絡めてきたところがかなり好きな作品。

今、反芻しながらこれを書いていると、うん、良かったなぁと思うのだが、惜しむらくは観ている最中に直感的にそれをもっと感じられる作品だったらと思う。
なんだか、思い返すと1幕のジョン(山本)とマリー(明星真由美)っている?くらいに思っちゃうんだよね。勿論、神に祈るレイとの対比とか、レイがドラクルとして覚醒というか復活するくだりを考えるといるんだけどさ。
さらに振るだけ振ったネタの回収というか決着という点では、Eva最終回「ありがとう」「おめでとう」的だったとも感じたりして。勧善懲悪とかきっちり時代劇が観たいわけではないが、「あれ?で、あれは?」みたいな。「え、これで終幕?」みたいな感じが若干。

観ていて、「おや伏線?」と思ったのが、司教が腕まくりをしてリリスに手をかざすとリリスが倒れるというシーン。
え、まさか実は司教も吸血鬼?いや、リリスが吸血鬼で聖職者の力で倒れちゃった?とか思ったのだけど。
あ、今書いていて判ったような気が。そうか、暗闇の行為を彷彿とさせたのか?あの生腕と迫ってきた手が。

とりえず、長塚作品は次も観てみよう。


<以下はどうでもいい感想>
・セットと衣装がモロ好み。コスチュームプレイはやっぱり最高
・1幕は、コクーンの仕掛け大全開。が、セットチェンジのガコン・ガタン・ドタンの音がうるさいのと、靴音が立ちすぎてちょっとイヤ。
・青ライトでの暗転はもはや標準化されてきたのかな。が、それでもやっぱり芝居が絡まず多様すればそれはただの暗転。暗転多い芝居はあまり好きじゃない。

 

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Comments

私が行きそびれたのはこれか!!
うるみさんの観劇記で、ちょっとだけ行った気になりますた。
しかしあれだな
単にミーハー心で(海老&りえ)「観たかったなあ」と
あとでぼんやり思い出しました。

>catpawさん

そうそう、これこれ。
上記で、「練って再演」とか書いてるけど、実際再演されたらまた観に行くのかというのは実は微妙www
ま、海老蔵は演劇初挑戦だそうだから。これから楽しみかもしれぬ。
ミーハー心が大切でっすよ~www

そういえば、開場には歌舞伎で海老蔵ファンな感じの和服のおば様方がたっくさんいた。

また、なんかいいチケットがあったら、今度こそ早めに誘うよ~!

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