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2004.11.11

ミス・サイゴン 帝国劇場 筧版

2004年11月10日、またもやミス・サイゴンを観てきました。
別所版市村版に続きまして今回は念願の筧版です。
だって、e+の得チケでS席が9,000円だったんだもの...4日間考えて、それでもチケット取れちゃったんだもの...これは観ろってことでしょう~。

実は今回は、先週の大統領選挙でブッシュが勝ちやがったせいもあってか、ベトナムとイラクに思いを馳せてしまい、帰り道少々陰鬱な気分になっちまいました。
愚かなり、アメリカよ。ベトナムで何も学ばなかったのか...

と、暗い思いは振り切って、感想を。
プリンシパルキャストはこちらの方々でしたー。
 エンジニア:筧利夫
 キム   :新妻聖子
 クリス  :坂元健児
 ジョン  :今井清隆
 エレン  :石川ちひろ
 テュイ  :tekkan
 ジジ   :平澤由美

 
e+の得チケだから、いい席は期待してなかったけど、今日は一階下手後ろ目でした。
が、しかしラストシーンはこの位置がいい!ということを発見!ラストの構図がすごいいい
エンジニアがタムを抱き下ろし、エレンへ向かって押し出す、優しいエレンがタムの手を取る、奥では悲嘆にくれるクリスとキムの亡骸。そして存在感ばっちりのうなだれるジョン。鳥肌が立ちました。

■エンジニア:筧利夫
筧さんを舞台の上で観るのは実は初めて。だからこそ観たかったのだが、懐が痛むところを無理して観に行った甲斐があったっていうのが正直な感想。
そりゃぁ歌に関しては、及第点というところでとても”上手”ではないのだが、これは終盤に観たせいだろうか?歌の拙さを上手く台詞的な演技にのせてこなしていた。そう、十分こなれていたのだ。

そして、やっぱり舞台の人だなぁと思ったのが、非常に”間”がいい。ミュージカルの場合、振り付けや歌が決まっており常にメロディーに乗って演じなければいけないわけで、そこで個性を出すのは舞台の勘が良くないとできないと思う。特にエンジニアのチャーミングさは、非常に難しい。

別所さん、市村さん、筧さんと観て(橋本さとしさんを観てないのが業腹なのだが)、とりあえず三人を観て思ったことが一つ。エンジニアの役は二枚目しか演じられない人はやっちゃだめ
エゴイストでいやらしく、目的のためにはなりふり構わず、敵にも見方にもなる。でも憎めない・チャーミングそしてちょっぴり哀しい。それがエンジニアだから。
筧さんのエンジニアは、そういう意味でとってもよかったと思う。私は市村さんに惚れ込んでいるので、ごめん、市村さんには及ばないと思ってしまうが、彼は彼の解釈でチャーミングでどこか優しいエンジニアを好演してくれた。
そう、筧さんのエンジニアはどことなく優しい。そしてタムに対してはその抱き上げる仕草、頭をなでなでする仕草に明確に優しさを感じるのだ。

マイムや演技、そして”歌の演技”は私はもう大満足。できれば歌唱力そのものに力をつけて、もし今後再演があるときには、堂々と二代目メイン・エンジニアとして演じていただきたいものだ。

しかし、やっぱり”しゃべり”は逸品だね。他の方のブログで観て知っていたのだが、ニ幕のキャバレー呼び込みシーンで赤い衣装を着けて出てきての一言「ルパンじゃないよ~ん」や、キャバレー支配人の「客はどうした」の問いに「(客席を指差し)ほらあの辺りとかあの辺りに、いっぱい」や日本人観光客に向かって「(時代は合わんが)サイトに載ってるよ」とか、市村さんのエンジニアとはまた違ったチャーミングさ満載。お客を楽しませるこつを心得ている。

ダンスも頑張ってたし。
あぁ、でもやっぱり「The American Dream」の”ゲストにはフレッド・アステア~”と歌う時の、市村さんの動き!絶品!アステアのあの片方の肩を落とした優雅な振りをできるのは、今回のクワトロキャスト中市村さんだけだったのではあるまいか~。


■キム:新妻聖子
実は前評判で、彼女のキムもいいらしいというのは聞いていたのだ。うん、良かった。
松たか子さんのキムは”強い”と多くのブログで書かれているけれど、あにはからんや、新妻・キムの方が強かった
役の解釈と演じ方は非常に松さんと似通っていると思う。違いがあるとすれば、儚さと切なさ。
これは、彼女がどのシーンでも精一杯力の限り歌っているせいだと思うのだが、少々力みすぎ、時としてうざっと思うほどに力が入りすぎているような気がするのだ。

常に強いキム。そういう印象。

村を焼かれた話、両親の死体を見た話。テュイに私には秘密がある!とタムを呼ぶシーン。どれも強かった。「命をあげよう」なんて力入りすぎて、恐ろしさすら感じたもんだ。

そして私の大好きなエレンとの直接対決シーン。
松・キムの場合は、ショックで激昂し若干ヒステリックに哀しみを含めて「(結婚したなら、タムを引き取れないなら)それなら彼が自分で言いにくるべきよっ」と泣き叫ぶところが、新妻・キムの場合はすごく理論的な感じがしたのだ。「うん、そらそーだよな、それが男のケジメだろーよクリス」って感じ。言い換えれば「落とし前つけろや、ゴラァ」って感じだったな(^^;;
相手役石川・エレンが引き気味にキムに接していたせいもあって、非常に説得力がある訴えとして感じられたのだ。

とにかく、どの場面でもキムは強かった。
なので、若干、ラストシーンの死を選ぶキムがそぐわないかなぁとも思った。あのキムならば、何がなんでも奪い取るだろー。

が、しかし、今後が楽しみなミュージカル女優をまた一人知ることができたのは収穫・収穫。


■クリス:坂元健児
この回を選んだ理由は、筧さんのエンジニアの他に、クリス&ジョンがまだ見てない二人だったせいもある。
坂元さんのクリスもよかった。歌や立ち回りについては、さすがのミュージカル畑の人だもの、まったく問題なし。
むしろ、石井・クリス、井上・クリスとの解釈の違い、演技の方に注目だ。

彼のクリスは、やはり本当に愛しているのはエレンなんだと思った。キムに対しては戦時中という極限状態と同情心が恋を生んだ。という感じ。キムと結ばれた後の朝、「Why God, Why?」を歌うクリスを観てそう思った。
神よ、なぜ、このベトナムでこの子に会わせた”おそらく坂元・クリスの場合、戦時中のベトナムでなければキムを愛さなかったと思うのだ。
が、そう感じさせる事によって、クリスの愛情について一本筋が通ったものとなり説得力が増している。
また、石川・エレンがまた、夫の愛情を疑ってないのだ。この二人の夫婦の絆は壊せない。今回、新妻・キムが強かったのであまり感じなかったが、これで松・キムだったら、キムが可愛そうでならなかっただろう。

坂元さんは、四季時代に「キャッツ」(でもメイクで顔わかんなくて覚えてない(^^;;)、あと「レ・ミゼラブル」でアンジョルラスを観ているが、今回あまり華がなかったのが残念...。


■ジョン:今井清隆
この人は華がありすぎだ!(笑)
さすがにジャン・バルジャンだ!ジャベールもだ!
貫禄ありすぎだよ~。いや、体型もかなり貫禄が出てきてしまって(^^;;、クリスとはどう見ても”上官と部下”。
この方が舞台にいると、視線を攫ってしまうんだよ。存在感がすごい。

ただ、二幕オープニング、私の大好きな「Bui-Doi」はそれが仇となったかなぁ。
これは完全に好みの問題だと思うのだが、私は岡・ジョンの動かない、マイムは手だけの抑えた振りで歌い上げる「Bui-Doi」の方が断然好きなのだ。
今井さんは、かなり大きくマイムし、上手・下手と観客に訴えかける演技。それもいいのだが、あの歌の重みは切々と歌っていただいた方が心に迫るものがあると私は思うのだ。

ちなみに、キムとの結婚式(とキムは思っている)の後、浮かれまくってジョンに電話するクリス「あの子は蓮の花~」に対する今日のつっこみは「なんじゃ、そりゃ!」でした(^^;;


■エレン:石川ちひろ
うーん、良くもなく悪くもなく。すごくまとまりのあるエレンでした。ちょっと面白みにかけるかな。
きっとアメリカ的”良妻賢母”の鏡のような女性なんだろうなぁという感じ。そこが面白くないと感じる辺りは、私の毒好きのせいなのであるが(^^;;

クリスのところでも書いたけれど、夫の愛情を信じてるね彼女は。揺らぎのない夫婦愛が二人の間に確立されている模様。辛い過去は今は話してくれないけれど、いつか話してくれる日をまっているわ。って感じ。そこに不安はないの。
高橋・エレンは、不安というかクリスが過去を話せずに苦しんでいる姿を見て、また自分も苦しみを感じるという演技だったのだけど、石川・エレンは妻の寛容といいましょうか脇で支えて優しく見守っている、そんな感じ。

芯は強いけど、絶対人と争ったりしないんだろうなぁ。キムとの直接対決も、本当に優しい女性として深くキムに同情していて強くは言えない、キムにおされっぱなしな感じしたし。


■テュイ:tekkan
ごめん、この役は戸井勝海さん観てねぇ。のだが、泉見洋平さんのテュイがいい。
tekkanさん、ごめんね。
でも、本当に力みすぎだと思ったのよ。
喩えて言うなら、仮面ライダーの悪役。そんな感じがしたのよ。

テュイはテュイで、キムを愛していたし、ベトナムの解放に心血を注いでいた人のはず。だけど、どうも嫉妬に狂うヒステリックな男にしか感じられなかったのね...

ところで、泉水洋平さんは続けて12月からの帝劇公演である、新感線公演SHIROHにも出演されるようですな。楽しみ~。

そういえば、今日高校生がいっぱい観に来ていた。いいなぁ。埼玉の高校っぽかった。友人の誰だっけかも高校の時に「レ・ミゼラブル」観たとか言ってたし。いいなぁ、首都圏の高校生は~。

さぁ、残すところ観に行くのは後一回。橋本さんのエンジニアを観に行こうと思えば観に行けるけど、お財布の紐をしっかり握って、21日の市村さんでラストにするぞっ!

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