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2004.05.05

エリザベート 2.キャスト編

キャストの皆様それぞれ素晴らしく、とても一言では表現しきれないので、長々書いてしまう。小分けに3回くらい書こうと思ったけど、これで終わりにしよう~。
山口版を観たときに、2001年版のライブCDを購入したのだが、こちらとの比較も合わせて書いてしまう。
※2001年版のライブCDは正直ひどい出来。この公演全体がこの出来だったとは思えないが、比較がこれしかないからなぁぁ。

>☆エリザベート 一路真輝
言わずと知れたオーストリア皇后。バイエルンの公爵家に生まれ、フランツ・ヨーゼフに一目惚れされて歴史に冠たるハプスブルグ家へ嫁ぐことになる。

さすがの上手さ。2001年版と比較しても格段に歌が上手くなっている。少女期、新婚時、晩年とそれぞれちゃんと歌い分けができているのに脱帽。また、2001年版ではしばしば歌の語尾が台詞になってしまっていたのが私には不満だったのだが、今回は基本的に最後まで音楽を離さず表現していたところも素晴らしい。しかし、内野版は山口版の時より、台詞調が強かったように思う。もしかして、歌の山口さん、芝居の内野さんに合わせて演じ分けしてた?


☆トート 山口祐一郎/内野聖陽
黄泉の帝王トート様。少女・エリザベートに恋をし、命を落とすべき彼女を生の世界に戻すも、ストーカーのように彼女のその後の人生に付きまとい死の影を投げかける。

山口さんは常々「王様役者」だと思ってきたのだが、はぁ本領発揮といいましょうか。「モーツァルト!」の時はコロレド大司教様というサポートにまわる役だったせいか、華は撒き散らしていなかった(笑)。それがもぉ、全開です。王様パワー大全開です。思えば劇団四季の時「ジーザス・クライスト・スーパースター」を観たのが最初の出会い。この頃から「はぁなんでこの人四季の若手なのに踊らねぇんだろ」と思っていたのだが、あんだけ歌えりゃそりゃ十分だ。
2001年版は歌しか判らないわけだが、倣岸不遜というか今回よりも若干若いギラギラした帝王様な感じだ。でも今回のトートは、黄泉の国に長く君臨した帝王。絶対的な自信と貫禄がある。その帝王様が図らずも生気に溢れる(しかしどこか死の影を感じさせる)少女に恋をしたという感じ。なので、エリザベートを見守る余裕もある。源氏の君と若紫だな。エリザベートはトートの手の平の上で慈しまれている。観ていると「はぁ~。このトート様にはエリザベートかなわんだろ。さっさと落ちちゃいなぁ」という気がしてしまう。「お前はまだ私を愛していない!」とエリザベートを拒絶するところも、「お前はまだ生ききっていないだろう?私の花嫁になるのはまだ早いよ」という大人の余裕を感じる程だ。ラストのエリザベートとトート様は”ようやく成長した花嫁を迎える帝王様”という感じ。

対する内野さん。歌の上手さはそりゃもう山口さんに敵うべくもないが、結構いけてた。どうしても山口さんと比較されてしまうのは、いたしかたないだろう。
内野さんは”若き帝王”という感じ。ちょっと前まで王子様。即位したて。こちらは、もうエリザベートに正面きって一目惚れ。立場対等な感じ。エリザベートは若くて恐ろしく魅力的なトートに怯えながらも惹かれているのに、トートはエリザベート恋しさ全開で女心にあんまり気づいてない感じ(^^;;。結構自分の気持ちにいっぱいいっぱい。若いので恋を前に余裕の"よ"の字もありゃしない。「最後のダンス」なんて、「好きだー好きだーおらおら俺のものになれーーーっ」って感じ(笑)で噛み付きそうなイキオイで歌ってるし。「お前はまだ私を愛していない!」もね、なんか可愛かった。自分のことを丸ごと好きになって欲しいのね。他(生)に気を取られてちゃ嫌なのね(笑)。観ていると「はぁー、エリザベートもういい加減にほだされてあげなよ」と応援したくなる感じ。ラストのエリザベートとトート様は、ようやく相思相愛になったカップルって感じ。


☆フランツ・ヨーゼフ 石川禅/鈴木綜馬
オーストリア皇帝にしてエリザベートの夫。

石川さんのフランツ・ヨーゼフは、「マザコン」というよりは、優しさ故に嫁・姑の間に板ばさみになってるって感じ。名香版のフランツ・ヨーゼフに非常に近い。シシィの自由さを愛しているけれど、自分は皇帝。自分自身は彼女とともに自由になるわけにはいかないけれど、彼女を束縛したりはしない。ひたすらエリザベートを一途に愛してるんだよね。って感じ。なので「今も君だけを愛している~、戻っておいで~」と唄うあたりは切なくて涙出そうになった。また「夜のボート」でも愛し合っている二人だけど、決定的にすれ違っているという風に思えて涙出た。こちらの舞台ではトート=死の世界、フランツ・ヨーゼフ=生の世界。二人の間でエリザベートは揺れ動くというように感じたなぁ。

で、内野版では鈴木綜馬さんだったわけだが、実は自信がない。なんか顔が違っていたような気がする(^^;;。2001年版のライブCDとも印象が全然違ったし。妙に早口だったし。しかし、うかつにも帝劇の「今日のキャスト」をチェックしてくるのを忘れてしまって。。。
こっちは完全なる「マザコン」というか、母ゾフィー皇太后による教育をそのまま吸収して性格形成された男という感じがした。はっきり言ってムカツク(笑)。石川版とまったく同じに歌っているのに、すべて「身勝手」「エリザベートのことをまったくワカッテない」「うっせーな女々しいんだよ」って思っちゃった(^^;;
「今も君だけを愛している~、戻っておいで~」って言われても絶対戻りたくないって。なので、余計に「エリザベート~トート様を愛してあげなよ~」って観てたな。


☆ルドルフ パク・トンハ/浦井健治
オーストリア皇太子。フランツ・ヨーゼフとエリザベートの息子。反体制派との繋がりがあるとされる。若くして死亡。その死は暗殺説を始め今もって謎とされている。舞台では、トート様に死を賜り自殺。

パク・トンハ。今回の公演で初めて観た韓国出身の若手。実は一番の掘り出し物!すごい子がいたもんだ!後述にもあるように、山口トートとの妖艶で素晴らしい「闇が広がる(リプライズ)」を見せてくれた。歌で演じられる人。歌の上手さでは「モーツァルト!」の中川君が素晴らしいと思っていたけど、尾崎豊のように歌う彼とは違い、パク君は正統派ミュージカルシンガー。王子様の気品もあり、山口トートの恐ろしさに怯えながらも優しさにすがってしまう不幸な幼年期を過ごした危うい皇太子様だった。「闇が広がる」でそれこそ闇にとりこまれ、自分の意図とは関係なく祀り上げられ、落ちていく。トート様の恐ろしさを怯えと共に演じてくれた。

浦井君の方は、どちらかというと野心的なルドルフ。若さ故の世間知らず。トート様に取り込まれるけれど、自分の意思で行動していると思ってる。という感じ。トンハ君より華奢な体だけど幾分骨太な感じ。激しいダンスシーンが華やかで、勝気な皇太子様の雰囲気十分。でも、私的には肩のキメ方が品が無くてちょっと嫌(^^;;


☆ルイジ・ルキーニ 高嶋政宏
エリザベート殺害犯にして舞台では狂言回し。

この舞台で見直したのはなんといってもルキーニ役の高嶋政宏!「レ・ミゼラブル」のジャベール役が私としては"上手いんだけどなぁ、いまいち~"と思っていたのでビックリしました。レ・ミゼでも歌の上手さは秀逸だと思ってはいたのですが、こんなにも多彩な歌い方ができる人だとは。脱帽です。ごめんなさい。あなたが相手役だからという理由で三輪さんとの「双頭の鷲」を観なかったことを心から後悔しています。「黒蜥蜴」絶対観ようと思います。
「計画通り」と「キッチュ」が大好き。今も頭の中でぐるぐるしてる。


☆マックス公爵 村井国夫
エリザベートの父、バイエルン公爵。

出番は少ないけれど、エリザベートの性格形成上に大きな影響をおよぼした父。村井さんさすがの美声とダンディーさ。2001年版の寺泉憲さんの歌があまりにもムニャムニャだったもので、余計に素敵に見えた。


☆シーン別
魅せられたのはなんといってもトート×ルドルフ(笑)。トートのお取り巻き"トートーズ"のメッシュの衣装もセクシーな激しいダンスも相まって、ヨコシマ・ボンノー腐女子は一発ノックダウンの破壊力。妖し過ぎる美し過ぎる!女性ファンをがっちり掴んで離さないのはこの二人のデュエットがあまりに素晴らし過ぎるからではないか?少なくとも私はそう(^^;;
2幕「闇が広がる(リプライズ)」の二人のデュエット、山口×トンハの二人に体中総毛立ち、知らないうちに自分で両腕を抱きしめているというマンガのような状態に陥ってしまった。本当に正直言えば、このデュエットを聴きたいがために、内野版のチケットを取ったと言っても過言ではないくらい。
2004年公演のライブCDは出ないのかなぁ。絶対買うのに。できれば、山口×石川×パクで出して欲しいものだ。

☆全体的な感想
山口版は、人間は人間でしかなく、すべての人がそれぞれ弱さを見せる中、圧倒的な存在感で黄泉の帝王トート様が君臨し人々を翻弄している感じ。
内野版は、トートを含めすべての人がそれぞれ幼さ拙さを残しており、エリザベートに翻弄される感じ。
どちら版も素晴らしい出来だと思う。
まぁエリザベートを主役に考えて、その生と死を解釈しやすかったのは内野版かなぁ。
また再演しないかなぁぁぁ。

ま、その前に「モーツァルト!」のコンサートだ!

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